野生キリンの福祉を考える土台となる研究

Bio One
(60秒でいうと)
・野生キリンにおいて、外傷の重症度とボディコンディションの低下が及ぼす影響を、糖質コルチコイドに着目して調べた論文が2018年に「Wildlife Biology」に発表された
・対象となったのは、南アフリカのエスワティニにあるMbuluzi Game Reserve(保護区)で生息しているキリンの個体群約60頭で、ストレスの指標とされる糞中の糖質コルチコイド代謝物を測定した
・有意な糖質コルチコイド代謝物の上昇は、重度の外傷および低いボディコンディションである場合に見られたが、軽度の外傷を示したキリンにはみられなかった
・確認できた糖質コルチコイド代謝物の変化は、負傷の重症度とそれに関連する痛みの程度の違い、エネルギーの状態に対するストレス反応の影響、および負傷期間の組み合わせが関与している可能性がある
・安楽死は不必要な苦痛を防ぐために使用される一般的な管理ツールだが、野生動物では、外傷の重症度とそれに伴う痛みを評価するのが難しい場合がある
・本研究の結果から、ボディコンディションの評価と個々の糖質コルチコイドの分析を組み合わせることで、野生キリンの健康評価を改善し、管理上の決定をサポートすることができることが示唆された

0コメント

  • 1000 / 1000

動物園・水族館の動物福祉を学びたい人のためのサイト「ZAWAW」

2020年、グローバルな時代に、日本の動物園・水族館は多くの変化を求められています。キーワードとなるのは「動物福祉」。動物園・水族館をとりまく動物福祉について、少しでも考える時間を共有できれば幸いです。