肢を欠損した治療ネコ科の野生復帰検証
Ecology and Evolution
(60秒でいうと)
・傷病のため肢の欠損した複数のネコ科動物を野生復帰させたときの行動評価の結果が科学誌「Ecology and Evolution」に掲載された
・多くの野生ネコ目の動物は、罠や交通事故によって、外傷を負ったり死に至る現状が多くある
・傷病個体において肢を欠損した場合には、野生復帰後も移動範囲に変化をもたらしたり、生存率を低下させる可能性が危惧されていたが、実際に検証した研究報告はなかった
・野生下の傷病治療により肢を欠損したネコ科動物(スペインオオヤマネコ2頭、ボブキャット、ユキヒョウ)4頭から得たデータを用い、健康個体や傷病前のデータと比較した
・予想に反して、どの個体も健康個体のデータと比較して利用範囲や1日の移動距離に違いはなかった
・オスのスペインオオヤマネコのみが欠損後に 1日の移動距離の大幅な減少と行動範囲の縮小を示したが、これらの推定値は報告されている同種のオスの移動量と同等であった
・すべての個体は外傷によく適応し、その種特有の動きや空間利用行動を示し、健康な範囲内で体重を維持するために採食することもできた
・生殖行動は肢の欠損に影響を受けないようであり、繁殖行動と交尾を観察したことから、これらの個体が地域の個体群に貢献していることが示唆された
・肢を欠損したネコ科動物が地域個体群の存続に貢献し、一般的な健康と福祉を良好に維持しているようにみえるため、野生での自由な生活を継続する可能性があることを示した
研究の基盤ともなっている再導入プロジェクトの取り組みの1つが下記URLで紹介されています
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