飼育鯨類の福祉理解に向けた世界的大規模な研究
PLoS ONE
(100秒でいうと)
・飼育下の鯨類の環境やエンリッチメントなどについて、大規模な調査をした結果が科学誌「PloS ONE」に掲載された
・「動物園、水族館における鯨類の福祉の理解に向けて(Towards understanding the welfare of cetaceans in zoos and aquariums)」というテーマで取り組んでいるイルカの福祉に関する大規模な調査の一環として、7か国、計38園館の40の飼育施設で飼育されている86頭のハンドウイルカとミナミハンドウイルカの調査データがまとめられた
・対象施設は、Alliance for Marine Mammal Parks and Aquariums(AMMPA)またはAssociation of Zoos&Aquariums(AZA)加盟の園館となっている
・エンリッチメントについては、エンリッチメントの目標設定や記録頻度、評価頻度などが記録され、多様性指数を算出するために、22の種類のエンリッチメントの項目に該当するエンリッチメント頻度、また、夜間のエンリッチメント頻度などが記録された
・トレーニングについては、来場者向け教育プログラムや、相互作用プログラムなど、関わるトレーニング期間や時間などが記録された
・飼育環境については、夜間と日中、24時間で区別され、飼育空間の長さ、深さ、飼育環境のタイプ(人工、湾、海など)、社会的環境などが記録された
・エンリッチメントについての調査の結果、ほとんどの施設で、取り組みはセミランダムにスケジュールされていた。調査項目に含まれていない自然物(海藻、砂、枝、カニなど)を利用しているのも確認された
・トレーニングは、すべての施設で取り組まれていたおり、トレーニングは遊び行動の増加や行動の多様性などのポジティブな福祉指標と関連付けられている
・トレーニングに関わる給餌スケジュールの影響は、様々な結果が確認されている。予測可能な給餌スケジュールが異常行動に関連する行動割合を増加させることが指摘されていたり、予測不可能な給餌スケジュールに変更後は、行動的および生理学的なストレス反応がみられることも確認されているため、給餌スケジュールの変更は慎重に行われるべきとした
・飼育環境については、最大長が9〜120 m、最大深度が3〜19mであり、日中よりも夜間により広い空間にアクセスできるようになっていた
・今回のデータは、鯨類飼育の飼育環境を継続的に改善するための現在の取り組みや状況を科学的に評価し、飼育者がイルカのニーズに対応できるようにするための有用なデータとなる
※下記サイトで全文無料閲覧可能です。
0コメント